Tontines、ブロックチェーン技術で定年退職後も充実した年金給付を保証

寄稿:

Dean McClelland, TontineTrust 創業者 

浅川太貴氏、元アクチュアリー

  • Tontines概要
  • ブロックチェーン技術がTontinesにとって革新的な理由
  • Blockchain技術をベースにしたTontinesの潜在的なマーケット

Tontinesとは

Tontinesは過去にヨーロッパで発明された年金で、日本ではトンチン式年金と呼ばれています。具体的には、多数の契約者が一定の金額を払い込んで基金を創設し生存者だけがその基金の分配を受けとる仕組みです。

Tontinesにはさまざまな形式がありますが、最も人気のあるバージョンは生涯にわたる年金給付契約です。365年前にヨーロッパの政府から最初に発行されると投資家に人気が高まり、加熱しすぎて問題が起こったため当時のフランスの王様が処刑される事態にまでなりました。 19世紀後半、保険会社は米国でTontinesを開始しました。再び人気が加熱して一世代のうちに米国の全家庭の半分以上が投資し、現在でも7.5%を超えるアメリカ国民の資産がTontinesで保有されています。

Tontinesの歴史

  伝統的に昔の人々は、終身年金のような給付を受けたいと思ったら、生きている限り毎月固定金額を給付することを約束した王様にお金を払っていました。 しかし予想よりも早く死亡した場合、それは年金給付を受け取る資格のある人にとっては非常に不運ですが、毎月年金を支払う必要がなくなった王様にとっては幸運なことです。 1787年にフランスの王様は戦争のための資金を調達しましたが、十分な数の投資家が年金契約を購入することを望んでいませんでした。 Lorenzo Di Tontiというイタリアの銀行家が、斬新なアイデアを提案しました。 契約者は定期的に固定金額を給付する年金契約に投資しますが、契約者が死ぬと、生き残った各契約者はさらに大きな金額を受け取ることができ、年金給付は契約者が生き残っている限り続きます。

当時のKampen市は世界で最初に “Tontine”を発行しました。これは大成功し、フランス、イギリス、アイルランド、そして多くの他のヨーロッパ諸国によって、現地の”Tontine”が開始されました。しかし当時の政府は、契約者にすべての基金を給付し続けるのは寛大すぎるのではないかといった考えから”Tontine”の発行が差し止められました。  

米国では、保険会社は19世紀半ばにTontine事業に参入しました。信じられないほど人気を博し成功しましたが、これらの保険会社もまた、すべての基金を契約者に給付することがあまりにも寛大すぎるという結論に至りました。  実際、Tontine事業で集められた基金の一部を流用して、保険会社幹部が信じられないほど高額なパーティー代金を支払っていたという証拠が見つかりました。また調査によって保険会社が年金契約者の帳簿を改ざんし、資産を正しく管理していなかったことが判明しました。

規制当局は1906年に保険会社に対してTontinesの契約者を保護するための新しいルールを発表しました。それに対して保険会社はTontineの販売をやめ、年金契約からの利益のすべてを法的に保有することができる通常の終身年金の販売を優先するようになりました。  これによってTontineがマスマーケットを対象に購入される時代が終わりました。保険会社が好む年金商品は徐々に人気がなくなり、米国における家計の退職貯蓄総額は減少しています。

貯蓄の未来: ブロックチェーン上のTontine

今後全退職者のほぼ半分が個人的に備えた貯蓄よりも長生きすると予想されています。 ある試算によるとOECD諸国の年金制度にはすでに合計78兆ドルもの巨大な年金債務があり、退職者は政府の救済に頼ることは非常に難しいと予想されます。 保険契約では、高い手数料と低いリターンのために退職者には不評です。そこで著名な学者や年金の専門家は長寿リスクから個人を守る手段としてTontineを活用する方法を考えていました。    

TontineTrust

 2017年に設立されたTontineTrustはピアツーピアのトンチン式年金制度を創設し、以下の特徴があります。

・スマートコントラクトを活用して支払いを公正に管理し、破産のリスクを回避する。

・バイオメトリクス、独自のデジタル通貨、その他の技術を活用してランニングコストを一桁削減し、契約者へのリターンを向上させる。

・パブリックブロックチェーンを活用して、積立金、手数料、および契約者への支払いに比類のない透明性を提供します(契約者はお互いに匿名のままです)。   

規制に準拠したTontineプラットフォームを開発し、プロジェクトを世界に普及させる開発者とコミュニティに報いるために、TontineTrustはプラットフォーム内とエコシステム全体で多くの重要な役割を果たす新しいStellarベースのデジタル暗号通貨(TON $)を開始しました。  Forbesの紹介によると、TontineTrustは今後導入される”ETF Tontine”を利用して数百兆ドルの世界的な退職給付市場をターゲットとしています。”ETF Tontine”は、最も低コストの伝統的なインデックスファンドの多くを慎重に組み合わせて投資します。  

過去10年間だけでも、同様のロボアドバイザーによるETFポートフォリオは4兆ドルに達し、デロイトによれば、2025年には16兆ドルに達する見込みです。  しかし、そのようなETFは大多数の退職者が毎月いくら消費する余裕があるかわからないため、生涯にわたる年金問題に対する部分的な解決策に過ぎません。 Tontineはここで全面的な問題解決に役立ちます。  積立金をプールすることにより、契約者は生活資金不足のリスクを分担することができます。その結果、平均余命よりずっと長く生きる場合でも健康的な生活を送るために十分な生活資金を保証することができます。

シンガポールのOCBC銀行のCEOであるサミュエル(Samuel Tsien)に、2016年のインタビューでブロックチェーン技術が金融の未来になるのかどうかについて聞きました。 サミュエルの意見では、ブロックチェーン技術はDLT(分散台帳技術)が実装できれば旧式の年金であるTontineが実現可能であると予想しています。

詳細:

https://tontinetrust.com/